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2005/05/30

(機器)プリンターが動かない

 先日1万円なにがしでプリンターを買いました。といってもプリンター・コピー・スキャナーの複合機だから、驚くべき廉価でした。
 講演用のレジュメをつくらなければならないので、さっそく使ってみました。一太郎のデータを打ち出して、家にある資料をコピーして貼り付ける。泣きたくなるくらいに便利でした。もうコンビニエンス・ストアでコピーに行かなくてもよい。むかし「千歯こき」を「後家たおし」とよんだのにならえば、これは「研究室たおし」とでもよぶべきか。とてもいいものを買ったと喜んでいた。
 ところが、9割近く仕上がったところで、プリンターの調子がわるくなった。印刷に時間がかかるし色にもむらがある。
 困ったので会社のサービス・センターに電話をかけてみました。これが大変でサービス・センターに繋がりにくい。何度かかけたが「しばらくお待ち下さい」というメッセージが流れて待たされる。やっと繋がったオペレーターの女性は、ご親切でしたが、話し方がえらい早口で横文字も多く、こちらにはわかりづらい。

(オペレーターの女性) 「××の○○がカラになっていますか?」(横文字が多くてすごい早口)
(わたし) 「なに? カラ? 『color』(カラー)?」(ちょっと聞き取りにくいぞ、もしかしたらまた難しい横文字かもしれないぞ、と身構えている)
(オペレーターの女性) 「カラでございます。カ・ラ。『empty』のカラでございます」
(わたし) 「なんだ、カラですか……」(『color』(カラー)でも『唐』(から)でもないらしい、こんどは日本語を横文字で説明されちゃったぞ!)

 こんなふうに会話がときどき喰い違う。
 プリンタの小さな扉にまで大層な横文字の名前がついているのには閉口したし、そのうえ先方に「返答マニュアル」があるのか、それを使ってベラベラと一方的に早口に話しかけてくる。それでは一体何をいっているのかさっぱり理解できない。ふだんは古文書みたいなものを読んでいる人間なので勘弁してもらいたいのですが。それで、「鉄道」を「くろがねのみち」とよむ本居宣長みたいな人間と、株価ディーラーのキャリア・ウーマンみたいな人間との、異次元対決とあいなった。
 といっても、わたしは人間ができているから、これしきのことで喧嘩はしません。また、「そんなことも知らないのか」といわんばかりに教えられても、購入して2日のこちらは手も足も出ないから、とにかく我慢しておきました。これではお店もお客もない。ひさしぶりに生徒の気持ちが少しわかったような気がしました。機械や機械のような人間との交渉事においては、〝辛抱〟の二文字が必要なようです。
 そんなことで一日潰れました。いったい何をしたのか。ブログに話題を提供できたくらいのことでしょうか。このプリンター問題はいまもって解決していません。

 そういえば、いつか大手銀行のATM(銀行の自動受払機)が誤作動して社会問題になったとき、ある政治家が「こんな機械化された時代にありえない事件だ」と論評していました。しかしそれをいうなら「機械化された時代だからこそおこる事件」というべきでしょう。
 テレビ・電子レンジ・洗濯機はボタンが幾つもありますが、説明書なしでも動かすことができるし、あまり故障はない。ところがパソコンやその周辺機器とくると、高いお金を支払ったわりには機械がいうことをきいてくれない。これでは家庭用品としては失格ではないか。マイクロソフトのひとり勝ちで企業側の自浄作用が働かないのか、機械が精密すぎるせいか、わたしのような素人には事情がまったくわからない。
 何れにせよ、便利だからパソコンを買わないわけにはいきません。文句をいってはいけないのでしょうか。こう考えるわたしがわがままなのか。

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コメント

それは災難でしたね。お疲れさまでした。私の場合、わからないことがあったらまず、PCに詳しい友達に聞いて回ります。それでたいてい解決します。遠くのオペレーターより近くの友達、を実感しています。

投稿: くま | 2005/05/30 14:27

高尾さま

苦闘の様子、おもしろすぎます。

たしかに、サービスセンタは電話がつながり難く、
カタカナ抜きでは会話は成立しません。

また、パソコン関係の機器は
他の家電製品と違うのも同感です。

私は常々、家電製品が調子が悪いと
「天誅」と称して、ボコボコ叩いて直すのですが、
パソコン関係は「天誅」をしたら、直るどころか
お釈迦になってします。

要は、家電のほうは心があるということなのか。
「天誅」の意味を理解し、
もとの状態に戻る・・・。

しかして、
パソコンのほうはマイクロソフトという異国のOSが
ベースとなっているためか、
そのあたりが理解できないようです。

物には心が宿るとは、神道的なのですが、
パソコンとその周辺機器は、宿らないようですぞ!!

投稿: 寺嶋吉明 | 2005/05/30 20:30

くまさん、ありがとうございます。わたしにもパソコンにくわしい知人はいますが、あまりに無音に過ぎ、「ちょっと質問が…」なんて久しぶりに電話をかけるのも、躊躇するほどです。自分の日頃の不義理が、こんなところでうらめしく思えます。

投稿: 高尾 | 2005/05/31 07:56

寺嶋さん、ありがとうございます。まえにも書いたのですが、電線に手紙を括り付けた明治時代のひとに親近感を覚えます。ながい歴史から俯瞰すれば、かようにひとと道具が距離をもってしまった社会というのは、稀なのではないかと思っています。テレビをたたくというのも、この距離を縮めようという非科学的な「努力」で、ついついわたしもやってしまいます。

投稿: 高尾 | 2005/05/31 08:02

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