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2005/03/05

(大学)女子大学、いまはむかし

 林真理子さん『本を読む女』(新潮社)は、山梨県の菓子屋「小川屋」令嬢小川万亀(大正4年生まれ)の、大正から昭和(終戦まで)の体験を綴ったものです。万亀は林さんのお母さんがモデルになっています。これはNHK月曜ドラマ『夢みる葡萄』(主演、菊川怜)として放映されていました。
 小川万亀は親から「アカになるから」といわれて女子大を諦め、東京のお嬢様教育学校である「女子専門学校」に通います。学校生活の描写は、大正期東京におけるお嬢さま生活の一端がうかがえ、興味深いものです。特に院長先生がおもしろい。夏休みを迎える前、女生徒たちに訓辞を与える場面。この場面は林さんの創作なのかどうなのか。

「みなさん、ようございますか。夏休みにご郷里に帰られる方も多いと思いますが、どんな時にもわが校の学生だという誇りを忘れないでくださいまし」(中略)「たとえばお友だちとご一緒に汽車に乗ったといたします。窓から綺麗な風景が見えます。けれども『まあ、ちょっと見て、見て、素敵じゃなァい』などとは、絶対におっしゃってはいけません。こうやってですねぇ……(中略)『何々さま、まあ、ご覧あそばせよ。綺麗な景色じゃこざいませんこと』『まあ、本当。見ていて心がせいせいいたしますわねぇ……』こういう会話が望ましいのでございます」(中略)「それから環境が変わりますと、健康ということがとても大切になってまいります。健康を害するものは、まず便秘でございますよ。女性の大半は便秘に苦しんでおりますが、これは自分の力で克服しなければなりません。このようにして、両手を握り……」〝うん〟と大きな声を出した。「頑張れ、頑張れと、自分を励ますのでございます(略)」
(『本を読む女』「放浪記」より)
 この「女子専門学校」が現在の東京家政学院大学。創設者は大江スミ先生です。ここでの「院長先生」とは大江先生のことでしょうか。もしもこの場面が本当だとすると、大江先生はとても親切でおもしろい方だったことになります。
 それは措くとして、この大学の非常勤講師を勤めていたことがあります。そこの授業でこの話を話したのですが、いまの学生たち、なんと『本を読む女』も『夢みる葡萄』も知らない。自分の母校のことなのに! もうちょっと誇っていいんじゃないだろうか! 大学の図書館では『夢みる葡萄』のチラシが置いてありましたが、学生のみなさんはみていないのでしょう。宣伝に使えるものはなるべく使って宣伝したほうがいいように思います。
 現代の「小川万亀」たちは興味深げに聞いていました。いまの学生さんも比較的おっとりした方が多いようでした。特に女性の先生方がお上品で驚きました。わたしの講師も2年で無事終えました。わたしの通っていたキャンパスは町田市相原の山中にあり、雰囲気がのんびりしていて実にいい大学した。

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コメント

およそ、浮世離れしてますな。

この人、源氏物語の講義が好きだったとか
聞き覚え、うろ覚えふぁ・・・。

投稿: 徳川 高則 | 2005/03/05 20:50

専門学校にはすごい先生が出講なさっていたそうです。

投稿: 高尾 | 2005/03/05 22:41

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