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2005/01/31

(文化財)巣鴨の町なみ、復元に向けて

 今月『巣鴨百選』2月号では14頁にわたり拙稿による特集記事を組んでいます。「よみがえる巣鴨の町なみ―新発見の史料は〝皇女和宮のおくりもの〟」です。『巣鴨百選』は巣鴨の商店街のタウン誌で、巣鴨の店先に置いてありますから興味のあるかたは是非手にとって御覧ください。
 わたしは最近、幕末の巣鴨町町屋240軒を記した史料、「巣鴨町軒別絵図」を発見しました。その紹介記事です。

 同じ『巣鴨百選』誌上で、以前にも同様なことを紹介したことがありますが((発見)幕末巣鴨町の住宅地図 ~「先祖が巣鴨町に住んでいました」という方、ご連絡を~)、今回は、前回よりもさらに詳細に紹介してみました。ただの史料紹介では面白くないので、「絵図中の人名のご子孫はいま」というコーナーも設けました。いまでも「絵図」と同じ位置に住んでいるお宅、あるいは「絵図」で創業年度が遡ってしまったお菓子さんなどを紹介しています。
 これは所謂「学問的業績」になるわけではありません。しかし、学問成果の社会還元という意味で、やりがいのある仕事だと思っています。地域にみなさんに地域振興の材料を提供させて頂くのも、われわれ歴史研究に携わる者の「道楽」のひとつと考えています(「使命」といわないところがワタシらしい表現だと思って下さい)。

 それに関して、拙稿の「おわりに」において以下のようなことを書いておきました。これはわたしのちょっとした問題提起です。

おわりに―絵図でどう「遊ぶ」か―
 以上、発見の絵図をご紹介させて頂きました。これで絵図の重要性・面白さの一端がご理解頂けたのではないでしょうか。更なる学問的で詳細な調査結果は、豊島区遺跡調査会『巣鴨町』にてお知らせする予定になっています。
 めんどうな調査はわれわれ歴史研究者にお任せください。しかし、これから先は、まさに地域のみなさんの手によって、この絵図を活かす番だと思います。歴史的文化財の存在意義は、―そんな難しい理屈で考える必要はありません―、大切に収蔵庫の中にしまっておくだけでは完結しません。ただ、それだけでは宝の持ち腐れで、社会に活かしてこそ、本当の価値が生まれるのではないでしょうか。だから、みなさんでこの絵図を使って、是非「遊んで」みて下さい。どんな「遊び方」があるのか、発想の乏しいわたしにはよくわかりません。逆に、地域のみなさんのお知恵を拝借したいと考えているところです。

 ただ「文化財を大切にしましょう!」を連呼するのでは、単なるお説教・教条の押しつけに聞こえてしまいます。「文化財は地域・ひとのためにどんなふうに使えるのだろうか」という議論から出発して、文化財の大切さを説いてもいいのではないか、と考えています。そのひとつの試みです。
 また、こういうふうな書き物をしておくと、今後の聞き取り調査に便利なんです。商店街を訪問するとよくある「怪しい訪問セールス」に間違われます。聞き取り調査ではこれがネックです。―巣鴨ではありませんが―、江戸時代の「え」の字を出していきなり「帰ってください」と門前払いをくうこともあります(世間的には、江戸時代のことを聞いてまわるわたしみたいな人間は、存在自体が迷惑なのです)。今後巣鴨を歩くときは「巣鴨百選」の記事がわたしの名刺代わりになるでしょう。それで相手への話の説明がはやくなります。
 さらに『巣鴨百選』の原稿の末尾にこのような一文を付しました。

(お願い)絵図中にある人名のご子孫を探しています。心当たりの方はご一報ください。現在は巣鴨以外にお住まいでも構いません。よろしくお願いします。

 どうですか? いいアイデアでしょう? まあうまいこといくか、わかりませんけども。でもいわないよりはましでしょう。
 発表の機会を与えて頂いた巣鴨百選編集部、調査にご協力頂いた豊島区教育委員会・豊島区遺跡調査会のみなさまにお礼を申し上げます。

(付記)下記のリンク先を御覧下さい。『巣鴨百選』ホームページ 拙稿記事の冒頭部分

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コメント

うちの祖父が空襲の被害にあいました。その頃から巣鴨に近い場所に住んでる住んでいたらしいので。
何かお力添えできることはありますか?

投稿: テツ | 2005/09/13 17:46

テツさん、ありがとうございます。感激です。お祖父様にお会いすることはできますでしょうか。

投稿: 高尾 | 2005/09/13 23:56

あっ、すいません。祖父はそれで亡くなりました。祖母はピンピンしちょります。
どういう事を大体でいいので聞きたいのかメールでいいので教えてくれますか?それを祖母に伝えて許しが出たら。話をしてみるとか。その方がいいと思うんで。よろしくお願いします~。
軽く自己紹介とかも交えてくれると祖母と話がしやすいと思います。家の近くは植木事業で成功した家とかありますから。そこらへんの話も聞けたらいいですね。

ではメールお待ちしてます~。

投稿: 哲 | 2005/09/14 01:48

ご親切にありがとうございます。それではすぐメールでご連絡を差し上げます。

投稿: 高尾 | 2005/09/14 08:02

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