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2004/11/12

(言葉)「大江戸」

 「大江戸」という言葉は、「大江戸線」などたくさんの用例があり、みなさんもよく耳にすることと思います。この「大江戸」、実は江戸時代からある言葉なのです。
 竹内誠先生によると、「大江戸」という言葉の初見は、寛政元年(1789)の山東京伝『通気粋語伝』である、ということです。また、概ね18世紀後半には定着するのではないか、とも仰ります。江戸東京博物館「大江戸八百八町展」でも、この竹内説にしたがって、『通気粋語伝』が展示されていたわけです。
 ところが最近(去年12月)、とうとう、竹内説の初見よりも古いものがある、という発言が出ました。

……竹内誠さんは、早い時期の用例として寛政元年(一七八九)刊の山東京伝の洒落本の『通気粋語伝』を挙げているんですね。しかし、これはもうすこし遡れるようで、私の知っている限りでは、明和八年(一七七一)には成稿していたといわれる建部綾足の『本朝水滸伝』第十九条に「大江戸」という言葉が出てきます。……「座談会江戸を語る」楫斐高さん発言 『国文学 解釈と鑑賞』(至文堂、2003.12)。
 これに従えば、今度展示するときは、『本朝水滸伝』を出さねばなりません。もっとも、これよりも古い事例が発見されなければ、ですが。研究というのは、こうやってみんなで意見を出しあって、常に説を更新してゆくものなのです。
 しかし、初見はどうあれ、18世紀後半に定着するという見解は揺るぎません。「大江戸」のイメージは、18世紀後半以降における、江戸の町範囲のひろがりと、江戸文化の成熟からきています。この町範囲は、東京都公文書館蔵の文政元年(1818)「江戸朱引図」にみることができます(注1)
 この「大江戸」と、概ね朱引範囲を示す「四里四方」(ひとによると「しりしほう」よりも「よりよほう」という訓みが多いらしい)とは、セットで出てくることが少なくありません。たとえば「四里と四方の大江戸ハ、ものごとばんたんふそくがない」(かわら版「当時流行ないものつくし」)。

(注1)ただし、厳密にいうと、東京都公文書館蔵の朱引図は、明治以後になって作られたものではないか、という意見があります。

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コメント

『国文学』の特集号、先日やっと古書店で見つけて購入したのですが、揖斐先生の対談はとばしてました(^^; こうやって、どんどん真実に近づいていくと、ワクワクしますね(^_^)v

ところで、江戸ッ子の初見は西山説(1771年「江戸ッ子のわらんじをはくらんがしさ」)以上にはさかのぼれないんでしょうか? これも今後の研究が待たれますね。

投稿: くま | 2004/11/13 01:35

「大江戸」「御江戸」「江戸っ子」、史料を読むときにはこれらの言葉に気をつけています。

投稿: 高尾(管理人) | 2004/11/13 21:59

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