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2004/11/06

(学生生活)田舎に出る学生、都会に出る学生

 「なつかしい学生時代」といっても、ほんの数年前に過ぎないのですが、いろいろな思い出があります。わたしが古文書解読を身につけた場は、「古文書研究会」という大学の研究会でした。
 活動の中心は合宿です。田舎のむらの名主宅から、古文書をお借りして合宿所へ運び、4泊5日、古文書解読ばかりです。その4泊5日の合宿は年に6回もありました(わたしはそれを4年間、無遅刻・無欠勤でした。合宿だけではありません、合宿の準備・勉強会・合宿での調査成果の執筆と、一年中大忙しです)。
 合宿所は古くなった学校をお借りしていました。米や野菜などを、みんなで合宿所へ持ち込み自炊し、掃除等も、もちろん自分たちでします。貧乏学生の寄合いですから、合宿費を切り詰めるため、食事は貧しく、ごはん・沢庵・塩っ気のうすいみそ汁くらいしかないことも多かった、と思います。冷暖房はきかないから、酷暑の中・寒波が襲った中の合宿はとりわけ厳しい。古文書を読むというよりも、古文書を読む環境とのたたかいで、からだをわるくして寝込む学生も珍しくありませんでした(特に女子学生)。もちろん、合宿所から外出することは固く禁止、合宿所ではお酒も御法度です。
 「ひとのいやがる古文書(研究会)に 入っていくよな馬鹿もいる」といわれました。「大学時代を楽しもうぜ」というこの時代、すすんで苦労しようというのだから、けったいな学生たちがいたものです。……そういえば、合宿所へ向かう途中の田舎町、リックサックを背負うわたしたちに、あるひとが不思議そうに、「学生さんたち、どこへゆくんだね?」と声をかけてきました。わたしは説明が難しいので、咄嗟に「いや、山登りみたいなもんです」と答えましたが、考えてみれば、その周辺に山など何処にもないのです。だからそのひとに「うっそォ」といわれ、ふたりで大笑いをしました。

 こんなことを書くのは、先日、早稲田大学の「スーパー・フリー事件」を扱ったノンフィクションを読んだからです(小野登志郎著『ドリーム・キャンパス スーパーフリーの「帝国」』太田出版、2004)。この本で、主犯の和田容疑者が、1993年の入学であることを知りました(注1)。所属大学は違うものの、わたしと同期なのです。そこで、わたしたちが「遊び系サークル」とは全く正反対の学生生活をおくったことを、改めて実感したわけです。田舎に出る学生、都会に出る学生、両極端でした。
 ちなみに、現在の研究会は、わたしたちの時のような過酷な合宿はしていませんが、合宿による研究活動は続けています。

(注1)わたしたち1993年頃の受験生たちは所謂「団塊の世代」ジュニアです。どの大学も入学することが難しかったことを覚えています。和田容疑者はその頃に早稲田大学政経学部に入学していますから、成績はたいへん優秀だったと思います。

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